電子機器に欠かせないプリント基板(PCB)には、目に見えない高度な技術が使われています。その中でも「無電解銅めっき」は、電子回路の導通性を確保する上で非常に重要なプロセスです。
「無電解銅めっき」とは、外部電源を用いずに化学反応によって銅を金属表面に析出させる技術です。導電性を持たない素材、たとえば樹脂やガラスエポキシなどの絶縁体にも銅を析出させることができるため、電子回路の基盤であるプリント基板製造において重要な役割を担っています。
無電解銅めっきの重要な用途は、プリント基板内の「スルーホール」を導通させることです。スルーホールとは、基板を貫通する穴で、異なる層の回路を接続するために使われます。しかし、基板は樹脂でできており、穴の内部も絶縁体です。そこで無電解銅めっきにより、穴の内壁に薄く銅を析出させ、後の電気銅めっきやはんだ付けを可能にするのです。
無電解銅めっきをプリント基板に行う際は、以下の工程で処理されます。
最も広く用いられるのが、ホルムアルデヒドを還元剤とする高アルカリ性の浴です。この浴では高い析出速度と安定性が得られますが、強アルカリ性のため取り扱いに注意が必要です。
近年では、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする中性浴も使用されています。この浴はニッケルを触媒に用い、電子移動によって銅を析出させます。ホルムアルデヒド浴に比べて環境負荷が低く、中性領域でも安定なめっきが可能です。
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